Japan Theta Wave Therapy Association

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JTWT日本シータ波セラピー協会
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チャクラカリンバ®/禅カリンバ®/シータ波カリンバ™

短編小説『心の旅路』『新たな日常』

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『心の旅路』

 

春の陽射しが柔らかく降り注ぐ午後、ひとりの女性、由紀は、都会の喧騒から離れた静かな山の麓にあるグランドフルネスのセラピー施設に足を運んだ。彼女は、最近の日常生活の忙しさやストレスに悩まされ、心の奥に眠る思いを解放したいと強く願っていた。

 

施設に入ると、優しい声で迎えられたのは、セラピストの美香だった。彼女の微笑みには、自然と心が和む力があった。「今日は、自分自身と向き合う旅に出かけましょう」と美香が言った。その言葉に導かれるように、由紀はセラピー室へと案内された。

 

部屋の中は、心を落ち着けるために配置されたクッションや、淡い光に照らされたキャンドルの優しい炎が揺れている。由紀は静かに座り、目を閉じて深呼吸を始めた。心の中にざわめく思考や感情が浮かんでくる。彼女はそれらを観察しながら、次第に心が穏やかになるのを感じた。

 

「今、そこにある感情を受け入れ、表現してみましょう」と美香の声が響く。由紀は内なる声に耳を傾け、その想いをジャーナリングすることにした。思いつくまにペンを走らせると、日々のストレスや不安、そして微かな希望がページに溢れ出てきた。心の声が形を持って現れる感覚は、彼女にとって初めての体験だった。

 

時間が経つにつれ、由紀は否定的な感情を手放す解放感を感じる。そして、彼女の内面に眠っていた思考が明るみに出てくる。思い描いていた自己像とは異なる、自分に対する新たな理解が芽生えてきた。

 

次のセッションでは、アートセラピーが始まった。由紀は色鮮やい絵の具を手に取り、心のまにキャンバスに描き始めた。その瞬間、彼女は自分の内側から表出してくる感情を自由に流し込める解放感に包まれた。筆のタッチ一つで、彼女の過去の思い出が甦り、フラッシュバックのように彼女の中を巡る。泣きたくなるほどの悲しみ、喜び、愛情。それらすべてが一つの作品として結実することを、由紀は楽しんだ。

 

セラピーの終わりには、他の参加者たちとグループセッションが設けられた。お互いの絵を見せ合い、心の中を言葉にして分かち合うことで、由紀は新しい視点を得ることができた。他者の経験や感情から、共感やサポートを受け取ることができたのだ。この時、彼女は孤独感から解放され、連帯感を感じた。

 

その日の最後、由紀は自然の中に身を置く時間を持った。山々に囲まれた静寂の中で、風の音を耳にし、鳥の歌声に心を慣らす。大地を感じ、彼女の心は次第に平和で満ち足りた感覚で満たされていった。

 

「これが、内なる平和なのかもしれない」と由紀はつぶやいた。グランドフルネスを通じて、彼女は心の奥深くに眠っていた思考や感情を解放し、新たな理解にたどり着いたのだ。そして何より、自分自身を受け入れ、愛することの大切さにも気づいた。

 

由紀は、これからの日々の中で、心に宿る声を大切にし、ストレスに負けない自分を育てることを決意した。グランドフルネスの旅は、彼女に新たな人生の道を切り拓く手助けをしてくれたのだから。

 

その後、由紀は日常生活に戻ったが、心の中には新たな光が宿っていた。瞑想やジャーナリング、そして自然との触れ合いを通じて、この旅で得た内なる平和を忘れずに生きていく。彼女の心と体の調和が保たれる限り、人生の豊かさを享受し続けることができるだろう。

 

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『新たな日常』

 

由紀は、グランドフルネスのセラピーから帰った後の日常生活の中で、自分自身との対話を大切にするようになった。毎朝、目が覚めた瞬間から、彼女は感謝の気持ちを込めて深呼吸をし、今日もまた心の旅を続ける準備を整えた。

 

彼女は、グランドフルネスでの体験を基に、瞑想の時間を毎日取り入れるようにした。特に朝のひときは何よりも大切で、静かな部屋の中で数分間、呼吸に集中することが心を整える助けとなった。日々のストレスや悩みに左右されることなく、自分のペースで生きることができる感覚は、以前には味わったことのなかったものだった。

 

由紀はまた、夜になるとジャーナリングに向かう時間を楽しみにしていた。どんな小さな出来事でも、彼女にとっては大切な出来事として記録した。思考や感情を言語化することによって、心の中のもやもやが少しずつ晴れていくのを実感した。そこには、自分自身を理解し、愛するための大切なプロセスがあった。

 

ある日、由紀は草花が咲き誇る公園を訪れることにした。彼女はそこのベンチに座り、周りの風景を楽しむことにした。日差しが穏やかに降り注ぎ、青空に白い雲が流れる様子は心を和ませる。彼女は、自然とのつながりを深めるために、草花の香りに鼻を近づけ、手で触れることを楽しんだ。

 

その瞬間、由紀の頭に浮かんだのは、グランドフルネスで学んだ「内なる叡智」に気づくことであった。「自分は何を求めているのか、何が自分にとって本当に重要なのか?」彼女は自分自身に問いかけた。静かな時間の中で、自らの本当の願望や目標を見つめることができた。

 

日が過ぎるにつれて、由紀は心の解放が日常生活にどのように影響を与えるのかを実感していった。仕事においても以前よりも冷静に物事に臨むことができ、同僚とのコミュニケーションもスムーズに行えるようになった。彼女の自己受容力が向上し、他者に対する理解も深まったのだ。

 

しかし、そうした新たな感受性が裏目に出ることもあった。彼女は身近な人々との関係において、より深い感情を共有するようになったが、それが逆に負担となることもあった。特に、友人たちとの会話では、以前のように軽やかに過ごせなくなり、感情に敏感になってしまった。

 

ある日の晩、由紀はノートを片手に、いつもより沈んだ気持ちで座っていた。友人との会話の中で、彼女は自分の進化と、周囲の人々との距離感の変化に戸惑いを感じていた。「果たしてこれは、成長なのだろうか?」由紀は筆を動かしながら、自問自答を続けた。

 

その時、ふと彼女の視界に小さなハンドパンが映った。彼女は数年前に購入した、心を癒すための楽器だ。音色は穏やかで、心の奥深くに響く。由紀は楽器を手に取り、リズムを刻みながら自分を取り戻していく。

 

音の波に乗って、彼女は自然と心が軽くなるのを感じた。ハンドパンを通じて、思いの全てを音楽で表現することで、感情を解放することができたのだ。そして、由紀は気づいた。「自分の心の声を、しっかりと他者に伝える手段を持っている」と。

 

そうして彼女は、ハンドパンを使って友人たちともセッションを行うことにした。音楽を通じて感情を表現することで、互いの気持ちを理解し合い、さらなる絆を深めることができた。ありのまの自分を受け入れ、他者とつながる喜びは、由紀の心を満たしていった。

 

さらに、彼女のグランドフルネスに対する実践は、地元のコミュニティにも影響を与えていった。由紀は、自らワークショップを企画することを決意した。今度は彼女の番だ。自分が受け取ったものを周りの人々と分かち合うことで、彼らもまた心の旅を始めるきっかけを提供したいと考えるようになった。

 

準備期間中、由紀は自らの経験をもとに、グループメンバーとのつながりや音楽、そして心の探求の楽しさを教えることを大切にした。そして、参加者たちも自身の内面に目を向ける時間を持つことで、自己理解を深めていく姿を見守りながら幸せを感じた。

 

ワークショップが始まると、参加者たちは思い思いに心の声を表現し、自己解放の瞬間を楽しんだ。その中には、由紀と同じように新たな視点を得た人々も多かった。彼女は彼らと共に笑い、感動し、多くの記憶を共に作った。

 

こうして、彼女の心の旅路は新たな段階に進んだ。由紀の内なる平和は、今や彼女だけのものではなくなり、周囲の人々にも広がっていく様子を見ていた。そして、彼女の人生はさらに豊かで充実したものへと進化していったのだった。

 

日々の瞑想、ジャーナリング、音楽、そして自然との触れ合いを大切にしながら、由紀は自らの幸せを探求し続け、誰もが持っている心の力を感じて生きていくのだ。心の旅は、ずっと終わりのない道なのだと、彼女は確信していた。

 

筆者 あべ乃奏縁

2025.04.17 Thursday